
「共感」とは、他者の感情や状況を理解し、それに寄り添うこと。
個人間の信頼関係を築き、人間関係を円滑にするだけでなく、職場や家庭での良好な関係にも繋がります。
現代社会ではますますこの力が重要視されているような気がします。
とくに身近な関係である夫婦間や親子間で「共感」が得られないと、辛いものがあり心身に不調が出る場合もあります。
これが「カサンドラ症候群」と呼ばれるものですが、カサンドラ症候群については別記事にしようと思います。
今回は、共感の本質を探り、なぜ共感されないと辛くなってしまうのか、具体的にみていきましょう。
1. 共感とは何か?
共感は、心理学的に「他人の感情や経験を理解し、それに寄り添う能力」として定義されます。以下の2つの側面から成り立っています。
- 認知的共感
他人の立場や感情を知的に理解する能力。たとえば、相手の発言から「この人は不安を感じているのかもしれない」と推測することです。 - 感情的共感
他人の感情を自分の中で感じ取る能力。相手が悲しい時に自分も心が痛むような感覚がこれに該当します。
これらの2つが合わさることで、相手の心に寄り添い、心から共感することができます。
2. 共感のメリット: 人間関係が豊かになる理由
共感には、以下のような具体的なメリットがあります。
① 信頼関係を構築する
共感は「この人は自分のことを理解してくれている」という安心感を生み出します。その結果、相手との信頼が深まり、よりオープンな関係が築けます。
② コミュニケーションが円滑になる
共感を示すことで、相手は自分の感情を否定されず、自由に表現できるようになります。これにより、対話がスムーズに進みます。
③ 職場や家庭での問題解決力が向上
相手の気持ちを理解することで、対立を避け、建設的な解決策を見つけやすくなります。
④ 精神的なサポートを提供する
辛い状況にいる人に共感することで、心の負担を軽減し、安心感を与えることができます。
共感が得られないとどうなるか
では「共感」が得られないとどうして辛くなってしまうのか見ていきましょう。
1. 自分の存在や感情が否定されたように感じる
共感は、自分の気持ちや体験が他人に受け入れられ、理解されているという証です。共感がないと、自分の感情が「間違っている」「軽視されている」と感じ、自分の存在や価値が否定されたように感じることがあります。
2. 孤独感を強く感じる
人間は本質的に社会的な生き物であり、他者と繋がりたいという欲求があります。共感が得られないと、「自分は孤立している」「誰にも理解されていない」と感じ、孤独感や疎外感を抱くことがあります。
3. 心理的なサポートが得られない
辛い時や困難に直面している時、共感されることで「自分は一人ではない」という安心感が得られます。共感がないと、その心理的サポートを失い、さらに不安やストレスが増幅されることがあります。
4. 自己表現の価値が薄れる
自分の気持ちを表現した時、それを誰かに理解されることで初めて「話して良かった」「分かってもらえた」と感じます。共感がないと、自己表現が無駄だったように感じ、自己否定的な思考に陥ることもあります。
5. 他者との関係性に不安を感じる
共感は人間関係を深める重要な要素です。共感が得られないと、「この人との関係は大切にされていないのかもしれない」と感じたり、相手との距離が広がったように思えてしまいます。
共感を示す際の注意点
共感は良いコミュニケーションツールですが、適切に行わなければ逆効果になる場合もあります。
① 偏った共感に注意
特定の感情や状況にだけ共感しすぎると、相手が「他の部分は理解されていない」と感じる可能性があります。
② 偽りの共感は逆効果
共感しているふりをしても、相手はその違和感を察します。本心から寄り添うことが大切です。
③ 感情に飲み込まれないようにする
相手の感情に深く入り込みすぎると、自分自身も感情的に疲弊してしまうことがあります。健全な距離感を保つことも重要です。
共感力を高める日常的な取り組み
共感力を向上させるには、日々の生活の中で少しずつ意識することが大切です。
① 日記を書く
自分の感情を整理することで、他人の感情にも敏感になれます。
② 読書をする
特に小説などを読むことで、他人の視点や感情を疑似体験することができます。
③ 瞑想やマインドフルネスを実践する
自分の感情をコントロールし、冷静に他人の話を聞けるようになります。
④ 多様な人々と交流する
異なるバックグラウンドを持つ人と話すことで、共感力が養われます。
まとめ
共感されることは、「自分は受け入れられ、価値のある存在だ」と感じさせる力があります。そのため、共感がない状況は孤立感や無力感を生み出しやすく、心に大きな負担を与えます。特に、辛い時や困難な時にはその影響が顕著になると言えます。
共感が難しい場面もあるかもしれませんが、話を聞くことや相手を理解しようとする姿勢が、思いのほか大きな助けになります。
お読みいただきありがとうございます。